ドクターインタビュー

耳鳴りの患者さんへ 「一人で悩まないで専門医に相談しましょう」 慶應義塾大学医学部・耳鼻咽喉科教授 小川郁先生

  • 1981年 慶應義塾大学医学部卒業
  • 1991年 ミシガン大学クレスギ聴覚研究所研究員
  • 1995年 慶應義塾大学医学部•耳鼻咽喉科専任講師を経て、2002年より現職

日本耳鼻咽喉科学会理事、日本耳科学会理事、日本聴覚医学会理事、国際聴覚医学会理事ほか

耳鳴りとは

 耳鳴りとは明らかな音がない状態で感じる音の感覚です。一般成人の約15%が何らかの耳鳴りを感じたことがあり、その約20%が激しい耳鳴りに悩まされているといわれています。したがって人口の約3%、すなわち日本では300万人から400万人が医療の介入を必要とするような苦痛を伴う耳鳴りを有することになります。このように耳鳴りを苦痛に感じるようになると耳鳴りが気になって仕事が手につかなくなったり、寝付けなくなったりします。耳鳴りの苦痛からうつや不安神経症が発症することもあります。近年、耳鳴りが増加しているかどうかの詳しいデータはありませんが、超高齢社会により増加している加齢性難聴に伴う耳鳴や、ストレスに起因するとされる突発性難聴の増加などから考えて、耳鳴りの頻度が増加していることには疑問の余地はありません。また、耳鳴りの苦痛度にはストレスが関与していますので、現在のようなストレス社会では耳鳴りの苦痛が増悪し、頑固な耳鳴りを訴える患者が増えると考えられます。

耳鳴りの原因は?

 外に音がないのになぜ耳鳴りを感じるのかは分かっていません。また、その検査法や治療法も確立されていません。耳鳴りの多くは何らかの難聴に伴って発生します。耳鳴りと難聴との関係をみると難聴がある方の約50%が耳鳴りを訴え、逆に耳鳴りがある方の約90%に何らかの難聴を認めます。特に難聴のなかでは感音難聴の60%以上に耳鳴りが伴いますので感音難聴による耳鳴りが問題となります。感音難聴のなかでは突発性難聴や急性音響性難聴、メニエール病などの急に難聴になる急性感音難聴で耳鳴りが生じることが多く、これらの病気では80%以上に耳鳴りが認められます。これらの病気では内耳にある音を聞くセンサーの役割をもつ毛の生えた有毛細胞というデリケートな細胞が傷つきますので、有毛細胞が壊れることが耳鳴りの発生に強く関わっていることは明らかです。また、耳鳴りの音色は難聴で聞こえなくなった音と似ていますので、例えば、高い周波数の音が聞こえなくなると、キーンやシーンといったやはり高い音色の耳鳴りが生じることになります。

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